ジュニアテニスと怪我
今回のマレーの引退や、錦織選手の棄権を目のあたりにすると、このレベルのテニスって本当に過酷なスポーツだと改めて思いました。マレーのように31歳で、股関節がボロボロになってしまうって、怖いですよね。個人差はありますが、プロレベルの人はもうみんな多かれ少なかれ満身創痍の状態で戦っているのでしょう。
まだ若い頃はまだましでも、若い頃テニスを結構真剣にしていた人が、歳をとってから(40代から50代くらいから)その弊害でいろいろと体に問題が出きてしまう場合も多いようです。私の周りで特によく見るのは、膝の問題。怪我というか、長年の酷使でもうボロボロになってしまうのです。私の知り合いの元カレッジプレーヤーは、knee replacement surgery(膝の代替[置換]手術、人工膝関節を入れ替えること)でしか改善の方法はないということ。でも、結構な大手術だし、お金はすごく掛かるし、その後のリハビリは大変だし、それを考えると、なんとかギリギリまで、手術は避けたいようです。でも、テニスをやってもあまり動けないし、普段歩いていても脚を引きずっているし、日常生活にも支障が出ているレベルで辛そうです。彼は、エリートジュニアの親御さん達に、子供達の体に将来、多かれ少なかれ弊害がでるのは”must”だから(避けられなから)覚悟しといたほうがいいと言っていました。
ということで、今回は、エリートレベルのジュニアテニスプレーヤーと怪我についてまとめてみました。
ジュニアテニスプレーヤーの怪我についての調査結果
アメリカの全国大会に出場した10から17歳の男女のジュニアプレーヤー631人を対象とした調査の結果から。(かなりおおざっぱですが。)
・過去数年間の怪我の割合は、全体の21%。(この調査での怪我の定義は、少なくとも3日(またはそれ以上)は、テニスの練習や試合ができない場合。または、トレーナーや医師などの専門家の介入が必要な場合とされています。)
・怪我の場所は、12歳以下、14歳以下のグループでは、肩が一番多く、16歳以上のグループでは、膝と腰(背中)が多かった。
年齢別に見る怪我の場所のグラフ
12歳以下のグループでは、肩と膝が多い
13歳~14歳のグループでは肩と足首
15~16歳のグループでは膝、腰(背中)、足首がトップ3。
このデータを全部一緒にして出した結果
怪我の多い部分の順は、1腰(背中)、2肩、3足首、4膝、5手首 6その他
ということで、テニスプレーヤーは、特に腰(背中)と肩には気を付ましょうということでした。
原因は、不運なアクシデント以外では、基本的には、練習のやり過ぎや正しくないテクニックを使うことで、体の特定部分に負担を掛けすぎるため。(例えば、キックサーブのやり過ぎで腰を痛めるとか、極端なウエスタングリップで肘の内側を痛めるなど。)そのため、年齢を重ねるにつれて怪我の割合も多くなります。
怪我を避けるためにできること
・練習・試合前には、ウォーミングアップを欠かさない。練習・試合後はストレッチを欠かさない。
・違和感を感じたらすぐにテニスの知識のある医者に診てもらい、判断してもらうことで、怪我の長期化や慢性化を防ぐ。特に、肩、膝、腰(背中)などの怪我しやいすい部分の状態の変化には、細心の注意を払う。
・思春期までは、複数のスポーツを行う。怪我を防ぐだけでなく、バーンアウト(燃え尽き)も防ぎ、長期的にはテニスのパフォーマンスの向上にも役立つ。
・13歳くらいまでは、キックサーブの練習量を制限する。年齢に合った、適切な練習量と試合量を守る。
・正しいテクニック、体の使い方を学ぶ。
・筋力トレーニングやコンディショニングで、体を鍛えて、怪我を防ぐ。(しかし、正しく行わないと、これ自体が怪我を引き起こす場合もあるので注意すること。)
怪我は本当に怖い!そのせいで、テニスを止めていったジュニアも多く見ています。
怪我には、とにかく、皆さん気を付けてくださいね。
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