オール・アバウト・テニス

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テニス愛を育むために:ジュディ・マレーからジュニアの親へ その2

 

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(前回からの続き)

ジュニアの親として直面する問題は、一般的な子育てで直面する問題と変わりません。どちらの場合も、親は子供のために良いと思ってしていることが、本当に子供のためになるかどうか、その時には、わからないことが多いのです。親としての重要な役目は、子供に、「すばらしい機会」を与えることです。しかし、これらの機会がすばらしいものかどうかを判断するのは大変難しいことです。私にも苦い経験があります。私は、「あの時」間違った選択をしてしまい、今でもそれを後悔しています。ジェイミーが12歳の時の話ですが、彼は、当時、ラファエル・ナダルやリチャード・ガスケと肩を並べるような、世界のトップジュニアの一人でした。そんな頃、彼に、LTA(英国テニス協会)のトレーニングプログラムに入ることできるというチャンスが巡ってきました。しかし、私が、ジェイミーに参加を認めたプログラムの内容が、彼が参加する一週間前に、変更されてしまいました。しかし、結局、12歳の彼は家を離れてその(変更された)プログラムに参加しました。残念ながら、そこでの経験は彼にとって悲惨なもので、彼は家に戻った後、テニスを6か月間、全くプレーしませんでした。

あのプログラムがジェイミーには、合わないだろうということが、なぜ、あの時、私には分からなかったのか、今でも悔やまれてなりません。彼は、まだ当時12歳の子供でしたから、特に責任を感じました。この経験から、アンディは、彼自身が決断できるようになるまで、家を離れませんでした。彼は15歳でスコットランドを離れてトレーニングのためにスペインに行ったのですが、それは、彼が自分のライバル達から後れを取り始めていると感じて、もっと良い環境でトレーニングをするためにそこに行きたくてしょうがなかったからでした。アンディは、当時ナダルと良い友達で、彼に何とかして、後れをとらないように必死でした。彼は、家から離れて生活できる十分な年齢になっていたし、スコットランドでの環境は、もう彼のテニスの上達のためには、良い環境とは言えなかったので、私は彼の決断がとても嬉しかったです。

もし、あなたの子供に、素晴らしいテニスの才能があると思うなら、すでにその道を経験済みの信頼できる誰かを見つけるといいでしょう。子供によって、家族によって、それぞれの道は異なります。誰かと同じ道を歩む必要はありません。ただ、話を聞くことが助けになることもあります。団体スポーツで、才能のある子供は、チームやリーグによって統括され、管理されます。しかし、テニスは異なります。個人スポーツであるので、親の役目がとても重要になってくるのです。多くの人から話を聞いて、あなたが子供にとってベストだと感じることをやればいいのです。心配しないでください、ジュニアテニスに関するほとんどのことは、一般的な常識で考えれば解決できます。憶えていてほしいのは、子供だけでなく、あなたもその過程を楽しむということです。

 

ジュディ・マレーのインタビューを去年テニスチャンネルで見たのですが、その時、彼女がスペイン行きを決めた時のアンディの様子を話していました。私は、その時彼女が言った" it has to come from him”【(もっと良い環境に自分を置きたいという思いは)彼自身から来るものでないといけない】という言葉がとても印象に残っています。親が子供に対してできることは、コントロールではなくてサポートなんだなと改めて感じたジュディ・マレーのコラムでした。