テニスを始めるのにベストな年齢は？
少し前に目にしたこの記事↓ とても興味深く読ませていただきました。
この記事では、最近の子供は、骨が弱くなり、体がうまく使えなくて、普通の動きをするだけで、骨折などの驚くような怪我をすることがある。このように、体力は昔の子供とそんなに変わらないのに、現代っ子の運動能力が低下してきている理由は、ずばり、幼少の頃、体を使った外遊びをしなくなってきたためと指摘しています。
この記事で特に注目してほしいのは
「では、スポーツをさせれば、体力も運動能力も身に付くのかといえば、私は必ずしもそうではないと思います。スポーツは成長期を終えた大人が楽しむために考え出されたものが多く、例えば、利き腕の使用頻度が高いなど、体の特定の部分を中心に使うケースが目立ち、その箇所だけが発達することも多いのです。」
というところ。
これは、もう正にテニスのこと。テニスで怪我をする要因の一つは、体の左右での筋肉の不均等です。利き腕ばかりを使ってしまうテニスでは、利き腕サイドの筋肉がそうでない側と比べて著しく発達してしまいます。
ナダルの写真をみても、利き腕である、左腕のほうが大きいのがわかります。ナダルの場合、なるべく左右が均等になるようなトーレングも取りれているでしょう。そのためか、そこまで、ひどいようには見えませんが、テニスプレーヤーのなかには、両腕の太さが大きく異なる人も多く、また、両肩の高さも著しく異なり、利き腕側がかなり低くなっているという人も少なくありません。ひどい筋肉の不均等は、体に悪いし、怪我の原因になるし、もちろん見た目も悪くなります。
テニスプレーヤー場合は、どうしても、左右の筋肉の不均等は避けられませんが、その差を10％以下におさえることがポイントです。
話が少しずれてしまいましたが、上の記事ではこのような理由のため、幼少期は、スポーツよりも、自然な体の使い方を習得できる外遊びを運動能力の向上のために勧めています。
テニスは体の使い方が上手く出来ることが前提のスポーツです。それぞれの体の部分が上手くリレー(連鎖）しあって、一つのスムーズなフォームを作り出し、ボールを打ちます。これができなけば、例えば、腕うちなど、体の一部分だけを使ったフォームとなり、正しいテクニックで打つことができません。
そのため、5～6歳くらいまでの幼少期は、体の使い方を上手く学ぶことができる環境をたくさん作ってあげることが、将来の子供のテニス上達に大きな影響をあたえるではないでしょうか。この記事が提唱しているように、特別なことをすることはないのです。とにかく、自由に自然の中でたくさん外遊びをさせる。（それが日本の都会では難しいのかもしれませんが。）そうやってまず基本的な運動能力を身に着けさせることが、将来のスポーツを始めるときの"先修科目”となります。
それでも、やっぱりスポーツをさせたいという場合は、アメリカでは（私の周りでは）、サッカーやバスケットボールや体操などが、子供のファーストスポーツとして人気です。テニスは、テクニックの比重が大きく、幼児が始めるのにはハードルが高いスポーツですから、まずは、そのような「始めやすい」スポーツで基本的運動能力を高めてから、テニスを本格的に始めるということでも良いでしょう。ただ、ゴルフのように、テニスと同じように体の片側に負担がかかるスポーツをテニスと並行して行うのは、利き腕側への負担が大きくなりすぎるということで、止めたほうが良いというのが一般的な考えです。
それでは、テニスは何歳で始めるのがベストなのかということなのですが、それは、個人の生まれ持った性質によって異なるので一概には言えませんが、セリーナ・ウィリアムズとビーナス・ウィリアムズの父親で幼少期のコーチであったリチャードは、以前、こう語っています。
Q “When should I get my kid on the court? ”
Richard “I feel like I started too early—at four years, six months, and one day,” “Better, he now thought, to let kids grow up; a more sensible age to start serious training would be six years old.”
質問：子供に、何歳でテニスを始めさせればいいと思いますか？
リチャード：私の子供がテニスを始めたのは、4歳6ヶ月と1日の時だったのですが、それは、早すぎたと感じています。今考えると、まずは、子供に、自然に成長させる時間をもう少し与えたほうがよかったと思っています。真剣なトレーニングを始めるのに、適切な年齢は、6歳かな。”
リチャードの言うように、6歳くらいまでは、テニスというスポーツにこだわるよりも、体を使ったいろいろな経験をさせて基本的な運動能力を高めることが、結局は、将来、テニス向上への近道となるのかもしれません。
