オール・アバウト・テニス

主に海外(特にアメリカ)で取り上げられているテニスに関する興味深いニュースをピックアップしてお届けします。

テニスは稼げるスポーツなのか?

毎年6月に発表される、フォーブス誌の「世界で最も稼ぐスポーツ選手」ランキング↓

メッシ、世界で最も稼ぐスポーツ選手に 年収138億円 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

 

今年はメッシが一位に輝きました。

このランキングの基準となる各選手の収入の決め方は、フォーブス誌によると以下の通りです。

”フォーブスが算出した各選手の収入には、2018年6月1日~19年6月1日に得た賞金や給与、ボーナスが含まれる。スポンサー収入(エンドースメント)は、同期間の広告契約料や出演料、ライセンス使用料を推計した。”

と言うことで、英語版のランキングを見ると分かりやすいのですが、サラリー(給与)/賞金+エンドースメントの合計で順位が決まっています。

 

英語版のランキング↓

The World's Highest-Paid Athletes List

 

トップ3は、サッカー選手。テニスに関して言えば、5人がランクイン。フェデラーが5位、ジョコビッチが17位タイ、錦織が35位、ナダルが37位、そして、セリーナ・ウィリアムズが63位で女子アスリートととして唯一のランキング入りしています。

テニスの100人中5人という数はやはり少ない気がしますよね。ちなみにスポーツ別でみると、バスケットボール(NBAプレーヤー)が35人ほどランク入りしていて、最多だそうです。

 

さて、このランク入りしたテニスの5人の稼ぎ方。ちょっと他のスポーツとは異なる特徴があります。それは、彼らのエンドースメントからの稼ぎの比率が、他のスポーツと比べて、とても大きい傾向にあるということです。エンドースメントからの稼ぎだけをみてみると、順位は、

1. フェデラー (86M)
9. 錦織(33M)
11. ジョコビッチ(30M)
14. ナダル(26M)
15. S. ウィリアムズ(23M)

 

となり、なんとフェデラーが全体で堂々の1位で、錦織は9位でトップ10入り。テニスの5人は、みんなトップ15以内にランクしています。

 

↓下の図は、スポーツ別の稼ぎの合計と、その中でのサラリーとエンドースメントとの比率を表しています。図の左側から、バスケットボール、フットボール(アメフト)、サッカー、野球、テニスの順になっています。

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(左から)バスケットボール、フットボール(アメフト)、サッカー、野球、テニス

 

例えば、バスケットボールは、ランクインした35人の稼ぎの合計が、$1.3ビリオンで、そのうち$972ミリオンがサラリーからの稼ぎ、残りの$321ミリオンがエンドースメントからの収入となっています。それに比べて、テニスは、ランク入りした5人の収入の合計が、$246ミリオンで、そのうち賞金が、$46ミリオンで、エンドースメントからの収入が$200ミリオンとなっています。テニスプレーヤーは、エンドースメントで賞金の4倍以上を稼いでいるということです。この結果は、テニスがいかに国際的に人気度の高いスポーツであるかを証明しています。それに比べて、野球などは、アメリカや日本など一部のエリアで人気が高いものの、サッカーやテニスと比べるとやはり国際的なアピールは少なくなります。やはりグローバルなアピールで、高額なエンドースメントを狙うにはサッカーかテニスかというところでしょうか。このため、テニスは、基本のサラリー(賞金)は他のスポーツと比べてあまり良くないけど、エンドースメントで補うことが出来るのです。
そういうわけで、錦織選手は、日本のスーパースターとして、エンドースメントからの収入がすごく、フォーブス誌によると、ナダルより昨年度の稼ぎが多かったということになりました。

ただ、このような独特な稼ぎ方、裏を返せば、トッププレーヤー以外のテニス選手の経済的な不遇さが垣間見れますよね。トップ以外の選手は、基本となる賞金の額も少ないし、エンドースメントからの収入なんて微々たるものでしょう。その上、その中から、世界中を飛び回る費用、コーチへの報酬など、経費を全て自分でまかなわないといけない。そりゃあ、ちょっと考えただけでも、多くのテニスプレーヤーが、経済的に実に厳しい環境に置かれていることが想像できます。

 

ところで、このトップ100リストを見て改めて思うのは、アメリカのプロスポーツシステムの充実度。バスケ、フットボール、野球、など、総体的に給料がとてもいいこと。福利厚生もありますし、トッププレーヤーでなくても、チームに雇ってもらえさえすれば、その間はわりと安定した生活ができるでしょう。(まあ、雇ってもらうこと自体が厳しいですが。)

 

いずれにせよ、やはりテニスの100人中5人という数は少ないと思います。ランク入りしているのは、いずれもテニス界のスーパースターのみ。やはり他のスポーツと比べても、または、テニス界の内部においても、とにかく格差が激しく、一般的にはお金を稼ぐのが厳しいプロスポーツの一つであることは間違いないでしょう。(特に男子の稼げるスポーツとしては。あまり選択肢のない女子場合、稼げるスポーツとしてテニスは素晴らしい選択ですよね。)

 

さて、今日は、フォーブス誌の「世界で最も稼ぐスポーツ選手」ランキングからテニスに焦点を当てて取り上げてみました。どんなスポーツでも、これだけ稼げるのは選ばれた人のみ。いろんな意味でうらやましい限りです。