怪我のリスクを減らす。アクティブ・レストの勧め。
Dr. James Andrews on advice for young athletes and parents: 1. Don’t specialize until senior year in high school. 2. Take two months off every year.
— Darren Rovell (@darrenrovell) October 2, 2019
"ジェームズ・アンドリュー 医師が、若いアスリートと親にアドバイス:1 ハイスクールのシニア(高校3年生)になるまで、一つのスポーツに絞るな。2 毎年、一年の内、2ヵ月は休め。"
ジェームズ・アンドリュー医師は、アメリカの超有名な整形外科医。肩、肘、膝など関節の専門医で、多くのトッププロアスリート達が、怪我の治療のために彼のもとを訪れています。
スポーツが原因で起こる怪我を多く治療してきた、アンドリュー 医師のアドバイスには、やはり重みがありますよね。
さて、アンドリュー医師の年に2ヵ月休めという言葉に、あなたは、テニスでは、一年中を通して試合があるから、そんなに休むのは無理だ、と思うかもしれません。実際、アメリカのUSTAのジュニアトーナメントスケジュールを見てみると、夏と12月に大きな大会が多いものの、一年を通して、レベル1(最高レベル)の試合は組まれています。そんななか、ジュニアアスリートたちの体の負担をできるだけ少なくしながら、大事な試合で最高のパフォーマンスができるように持って行くトレーニングの仕方のカギは、"periodization(ピリオダイゼーション)" と ”アクティブレスト”のコンセプトにあります。
”Periodization”は日本語では、期分けとか時代区分と訳せますが、このコンセプトを使った、ピリオダイゼーション・トレーニングでは、年に数回ほど、最高のパフォーマンスをしたい時期を決め、そこがピーク時になるようなトレーニング・プログラムを組んで実行します。一年間を通して同じトレーニングをしているわけではなく、ピーク時が最高の身体コンディションになるように、トレーニングの内容を時期によって変えながらトレーニングしていきます。(具体的にはどのようなトレーニングかということはここでは長くなるので省きます。)そして、ここで怪我のリスクを減らすために重要ポイントとなるのが、そのピークに持って行ったトレーニングの後につづく、「アクティブレスト」の期間。
「アクティブレスト」というのは、 “Involves performing light exercises that stimulate the recovery process without imposing undue stress on body parts.” ということですが ようは、体に過度のストレスをかけないような、軽い運動をする期間、ということです。軽い運動は、なんでもいいのですが、スイミングとか、ヨガとか、サイクリングとか、ハイキングなどのスポーツを、体に負担を掛けないすぎない程度に行うことが重要です。そしてさらに重要なのは、この間テニスは全くしないで、普段酷使している体の部分を休ませるということです。
例えば、アメリカのUSTAジュニアトーナメントのスケジュールで考えると、3月のイースターボウル、8月のハードコート、12月のオレンジボウル、の大会に照準を合わせて、年に3回ほどピークになるようなトレーニングプログラムを組むようにしたとします。
「アクティブレスト」は、ピークになるように調整した大きな大会終了直後に2週間程度取るべきということなので、このようにピーク時が年3回ある場合は、このアクティブレストの期間だけで、一年間で、6週間(2週間×3回)のまとまった休みを取ることになるわけです。その他、小さい大会後の短めの休息期間を含めれば、アンドリュー医師が推奨する年に2ヵ月休むというのは、実行できるわけです。
ジュニアテニスには、特にオフシーズンというのがないので、まとまった休みがとりずらいと考えている方が多いかもしれまんが、それならば、自分で決めて休むしかありません。将来プロになりたいと考えて、普段から練習量が多い本気のジュニアアスリートこそ、この「アクティブレスト」の期間をトレーニングプログラムに取り入れて、怪我のリスクの少ないテニスキャリアを送ってほしいものです。