オール・アバウト・テニス

主に海外(特にアメリカ)で取り上げられているテニスに関する興味深いニュースをピックアップしてお届けします。

NCAA D1チャンピオンシップの数に見るアメリカのスポーツ名門大学

NCAAには Division I, II, and IIIと3つの異なったデイビジョンがあります。基本的には学校の規模で、グループ分けされているようです。最も大規模な大学が集まるDivision はその中で最高レベル。その頂点を決めるD1チャンピオンシップ(D1トーナメント)で優勝したチームがそのシーズンでの全米No1チームとなるわけです。そして、このタイトルは、大学やチームにとって最高の名誉となります。これを目標に、大学のチームやスチューデント・アスリートは日々練習に励んでいるわけなのです。

デイビジョン1の大学は全米で347校あり、現在は24つの異なったスポーツで競い合っています。その中で、これまでにチャンピオンシップを獲得したことのある大学は180校だそうです。

それでは、この名誉あるD1チャンピオンシップのタイトルを最も多く取った大学はどこなのでしょうか。以下がトップ15です。

 

D1チャンピオンシップの数

RANK SCHOOL TOTAL TITLES DIFFERENT SPORTS WON
1 Stanford 117 20
2 UCLA 116 20
3 Southern California 106 17
4 Oklahoma State 52 5
5 Penn State 50 10
6 Texas 46 10
7 Arkansas 44 6
T8 LSU 43 7
T8 North Carolina 43 7
10 California 37 10
T11 Florida 35 14
T11 Michigan 35 10
T13 Denver 33 3
T13 Oregon 33 8
15 Georgia 31 9

(2017年~2018年シーズンまでのデータ)

 

スタンフォード大学が1位で、たった1つ差の2位は、UCLA。2位と10タイトル差の3位には、UCLAの強烈なライバルであるUSCがつけています。このカリフォルニアにある3つの大学が他を大きく引き離して断トツのトップ3です。

これまでのNCAAの歴史の中で、延べ39の異なったスポーツの種類があったそうで、スタンフォード大学UCLAはその半分以上の20つの異なったスポーツでタイトルを取っています。

 

それでは、次にテニスのチャンピオンシップを見ていきましょう。

まずは、男子テニスのチャンピオンシップのタイトル数(2017年~2018年シーズンまで)

Team Number Years won
Southern California 21 1946, 1951, 1955, 1958, 1962, 1963, 1964, 1966, 1967, 1968, 1969, 1976, 1991, 1993, 1994, 2002, 2009, 2010, 2011, 2012, 2014
Stanford 17 1973, 1974, 1977, 1978, 1980, 1981, 1983, 1986, 1988, 1989, 1990, 1992, 1995, 1996, 1997, 1998, 2000
UCLA 16 1950, 1952, 1953, 1954, 1956, 1960, 1961, 1965, 1970, 1971, 1975, 1976, 1979, 1982, 1984, 2005
Georgia 6 1985, 1987, 1999, 2001, 2007, 2008
Virginia 4 2013, 2015, 2016, 2017
William & Mary 2 1947, 1948
Baylor 1 2004
Illinois 1 2003
Michigan 1 1957
Notre Dame 1 1959
Pepperdine 1 2006
San Francisco 1 1949
Trinity 1 1972
Tulane 1 1959
Wake Forest 1 2018

USCがトップでこれまでに21のタイトルを獲得しています。それに続くのは、またも、スタンフォード大学UCLA。この3校が男子テニスでも他を大きく引き離しています。

 

 女子テニスのチャンピオンシップのタイトル数(2017年~2018年シーズンまで)

School Number Year Won
Stanford 19 1982, 1984, 1986, 1987, 1988, 1989, 1990, 1991, 1997, 1999, 2001, 2002, 2004, 2005, 2006, 2010, 2013, 2016, 2018
Florida 7 1992, 1996, 1998, 2003, 2011, 2012, 2017
Georgia 2 1994, 2000
Texas 2 1993, 1995
UCLA 2 2008, 2014
Southern California 2 1983, 1985
Duke 1 2009
Georgia Tech 1 2007
Vanderbilt 1 2015

スタンフォード大学が2位以下を大きく引き離しています。

 

 次は、チャンピオンシップタイトルを多く獲得している「部(チーム)」の順位です。(2017~2018年、昨シーズンまでのデータ)

RANK SCHOOL SPORT TITLES
1 Oklahoma State Wrestling 34
2 Southern California Men's outdoor track and field 26
3 Denver Skiing 24
4 Iowa Wrestling 23
T5 North Carolina Women's soccer 21
T5 Southern California Men's tennis 21
T5 Yale Men's golf 21
8 Arkansas Men's indoor track and field 20
T9 UCLA Men's volleyball 19
T9 Colorado Skiing 19
T9 Stanford Women's tennis 19
T9 West Virginia Rifle 19
13 Stanford Men's tennis 17
T14 Houston Men's golf 16
T14 UCLA Men's tennis 16

タイトルを最も独占しているチームは、オクラホマ州立大学のレスリング部でした。また、デンバー大学、コロラド大学のスキー部とか、ウエスバージニア大学のライフル部とかは、地域性がでています。

 

ということで、今回はどの学校やチームがチャンピオンシップのタイトルを多く持っているかを見てきました。これらのスポーツ名門大学に共通することは、学問でも優秀な大学ばかりであるということ。その分、名門スチューデント・アスリートは、勉強にスポーツに本当に大変でしょうが、若い今だからこそ出来ること。貴重な経験ができて本当にうらやましい。

さて、2018~2019年のシーズンもほぼ終了。このシーズン後にまた順位などに変動があるかもしれませんね。

 

参考にしたのは↓

https://www.ncaa.com/news/ncaa/article/2018-07-06/these-schools-have-won-most-ncaa-di-championships

本物のマーチマッドネス終了

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NCAA.com

It's Championship Monday!

ということで、毎年大注目を集める男子ディビジョン1NCAAバスケットボールトーナメントの決勝戦が昨日ついに行われました。みんな、なんだか、数日前から、ウキウキ、ワクワク。 

バージニア大学vs.テキサス工科大学

 

試合前の特番。みんな、嬉しそう

 

”誰が今夜勝つと思うか”

テキサス工科大学が本命。 バージニア大学はアンダードック。

 

 いよいよ試合が始まり

 

ハーフタイム

接戦です。

 

後半も接戦のまま、延長戦へ 

 

そして、

バージニア大学が勝利!!!

 

 その瞬間のバージニア大学

 

 トロフィープレゼンテーション 

 

  今年も夢をありがとう。

 

これが大学のスポーツですよ!? すごいですよね。プロにも引けを取りません。スケールが大きすぎる。

 

【結果】

「男子バスケットボールのNCAAトーナメント(全米大学選手権)は8日、ミネソタ州ミネアポリスのUSバンク・スタジアムに7万2062人の大観衆を集めて「ファイナル4」の決勝を行い、南部地区第1シードのバージニア大が、西部地区を第3シードで勝ち抜いたテキサス工科大を延長の末に85―77(前半32―29、延長17―9)で下して初優勝。延長ではフリースローを12本すべて成功させ、同じく初優勝を狙っていたテキサス工科大を振り切った。」(スポニチより)

 

 試合のハイライト映像

www.youtube.com

 

U.S. Men's Clay Court Championship と2011年の錦織選手

ATPツアー250レベルのイベントである、 U.S. Men's Clay Court Championship がかなり地味に始まりました。テキサス州はヒューストンのRiver Oaks Country Club で今日、本戦の一回戦が始まり、14日まで熱戦が繰り広げられます。第1シードは、は2017年、2018年のチャンピオンで、現在世界ランク39位のアメリカのスティーブ・ジョンソン。第2シードは、世界ランク42位のフランスのジェレミー・シャルディーです。

ドローはこちらから↓

www.mensclaycourt.com

 

250レベルなので、トッププレーヤーの多くはもともとスキップしています。その上、クレーコートシーズンの初めの大会なのですが、同じ時期に同じレべルの大会であるGrand Prix Hassan II が、モナコで行われていて、そちらのトーナメントのほうが、これから本格的に始まるヨーロッパのクレーコートシーズンのスケジュールを考えると都合が良いので、人気が高く、多くの選手がそちらのほうに流れてしまいます。

↓Grand Prix Hassan IIのドロー

www.atptour.com

 

そんなわけで、毎年アメリカ選手中心の地味なドローになるのですが、その分、より多くの人にチャンスが広がるわけなのでよしとしましょう。

 

ちなみにこの大会、2011年には錦織選手が準優勝しています。その当時のインタビューでは、直前に起こった大震災の話をしていました。

www.youtube.com

”初めて震災のことを聞いたのはインディアンウェルズで、自分の試合の一日前でした。これを聞いて、プレーできない、テニスなんかやってる場合じゃないと思ったのですが、プレーしなければなりませんでした。それ以来、毎日日本のことを考えいます。日本はいまリカバリーしようと一生懸命です。僕もなんとか助けになろうと、他のプレーヤー達と、エースチャリティーオークションやチャリティーサッカーマッチを行いました。ジョコビッチも忙しいスケジュールの合間を縫って参加してくれました。まだ、日本では、食べ物や服などにも困っている人がいます。特に僕はアメリカに居るので、なんとか、力になれないかと毎日考えています。”

あの当時の我々が抱いたあらゆるショッキングでネガティブな感情は、世界のどこに居ても日本人なら、みんな感じた気持ちでしょう。あれから、もう8年も経ったんですね。。。

 

次の質問は、当時のコーチ、ブラッド・ギルバートについての話。というか、彼とのコミュニケーションで言葉の壁を感じるかと聞かれて、テニスに関してのことなら、全部理解できるから大丈夫、彼もわかりやすく話してくれるし、と言っています。

そして、直前のマイアミオープンでのナダルとの大接戦だった試合の感想とGOAT候補のナダルについてどう思うか、と聞かれています。それに対して錦織選手は、負けたけど、アグレッシブないいプレーができたし、今年のこれまでのベストマッチだと思う。ブレークのチャンスがたくさんあったのに、どうしてもあと1ポイントが取れなかった。ナダルはとてもいいプレーヤーだし、ノバック(ジョコビッチ)も調子がいい。面白くなると思う、と答えています。

次に、誰の試合を見るのが好きかと聞かれて、僕の永遠のアイドル、ロジャー・フェデラー。彼は何でも出来るし、彼のようにプレーしたい、と言っています。

最後に、もし誰かのショットを自分のものにできるなら、なにを選ぶかという質問には、ナダルのフォアハンド。。。いやカーロビッチのサーブもいいな、と答えています。僕は体が大きくないから、なかなかエースが打てない。彼のようにサーブが打てたらいいだろうな、ということです。

 

決勝で負けてしまいましたが、これが、その時のハイライト映像です。

www.youtube.com

錦織選手、まだ若いですね~。

 

それでは、いよいよクレーコートシーズンが始まりました。

最後は、クレーコートでの素晴らしいスライドしながらのポイントをお楽しみ下さい。

www.youtube.com

テニスがくれたチャンス

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ジョージア工科大学


ジュニアテニスとお金の問題。多くのテニスプレーヤーとその家族にとっての永遠のテーマです。

個人によって大きな違いはあるものの、ジュニアをカレッジレベルに育成するために、7~8歳でテニスを始めて 18歳までの10年間にかかる育成費は平均で、$100.000~$150.000という記事を目にしたことがあります。しかし、これはおそらく最低ラインに近い見積もりで、例えば、テニスアカデミーにフルタイムで通えば、年間$60,000~$80,000ほどかかり、その額を数年で超えてしまうことになります。

とにかく、ジュニア育成にはお金がかかります。

そんななか、あるテニスプレーヤーが今秋からジョージア工科大学に進学します。(ジョージア工科大学はアトランタにある工科系大学の名門校で、US news & world report の2019年のカレッジランキングでは35位にランクしています。スポーツでも名門校で、NCAA D1の強豪がひしめくACCカンファレンスに属し、現在男子テニスチームはITAの最新ランキングで、49位につけているという文武両道の大学です。)

そのプレーヤーの名前は、アンドレ・マーティン。彼は、アトランタから一時間弱離れたジョージア州フラワリー ブランチに住んでいる、高校シニア(最上級生)のブルーチップ(最高レーティング)プレーヤーです。

今回は、tennis recurting network に掲載された彼についての記事を紹介したいと思います。

 

近所の人の助けでジョージア工科大学へ

アンドレ・マーティンは、昨年の夏、彼の住むジョージア州フラワリー ブランチの自宅の近所の家を一軒一軒回って歩いた。

マーティンは、トーナメントのエントリー料を稼ぐために仕事を探していたのだ。そのために、彼は芝生刈りでも、窓を綺麗に洗うことでも、何でもするつもりだった。

「家は、あまり余裕がある家庭ではないので、テニスみたいなスポーツをすることは本当に大変なんです。」マーティンは言った。「だから、何とかプレーできるように、何でも、どんな仕事でもするつもりでした。近所の人は、みんな、とても気前よく仕事をくれて助けてくれました。そのおかげでお金を少し稼ぐことが出来たんです。」

マーティンの近所の人は、彼のここまでの成長の過程と、彼の未来の更なる飛躍のチャンスに少しでも貢献できたことをとても誇りに思っていた。ブルーチップの高校シニアのマーティンは奨学金を得て、ジョージア工科大学への進学が決まったのだ。昨年の11月、彼はイエロージャケッツ(ジョージア工科大学のチーム名)と正式にサインした。

ジョージア工科大学は、僕にとって、素晴らしい選択でした。家から近いし、そのすごく優秀なプログラムで、エンジニアリングを勉強できるから。」

「テニスチームもこれからどんどん強くっていくと思います。今年、入学するプレーヤーはみんないいやつで、テニスもすごく上手いんです。彼らと一緒にプレーできるのを楽しみにしてるんですよ。」

マーティンはアトランタ生まれで、2歳のときに近くのフラワリー ブランチに引っ越した。彼の母親は、アトランタのテニスリーグでプレーしていて、それがきっかけでマーティンもテニスを始めた。

マーティンが、彼のコーチである、 Murry Lokasundaramと出会ったのは、彼が、8歳の時だった。それ以来、ここまでずっと彼はマーティンをコーチしてきた。

「彼はすごくいい子です。本当にね。一生懸命努力するし、ナチュラルな才能にも恵まれている。」Lokasundaramは言った。「彼のコーチになれたこと、そして、ここまで、彼と多くの時間を過ごすことができたことは、私にとって、すごく幸運なことでした。ある意味、私たちは一緒に学んで、一緒に成長してきたんですよ。」

マーティンと Lokasundaramは、パブリック(公営)のテニスコートでトレーニングしながら、これまで、マーティンのテニスの費用の助けになるように、助成金奨学金に多く申し込んできた。

「彼は、カントリークラブ育ちじゃないですからね。そして、それは、とても素晴らしいことだと思います。本当に少ない資金で、本当にたくさんのことを成し遂げたんですよ。」Lokasundaramは言った。「こんな子供は彼だけじゃない。素晴らしい才能があるのに、金銭的な理由であまりたくさんプレー出来ない子供は、テニスではどちらかと言えば少数派でしょうけど。でも、そうゆう子供達が、もっと頼れるところがあったらいいと思うんです。」

マーティンは過去に数年ほどサッカーもしていた時期があったが、高校入学時にテニスに専念することを決めた。そして、ホームスクールを始めて、テニスをする時間を増やした。

また、ここ3年は、マーティンはサウスキャロライナ州にある Smith Stearns Tennis Academyからの奨学金を得て、そこでトレーニングをすることができた。

「やっと最近、テニスでベストになりたいと思うようになったんです。」と、マーティンは言った。「正直、過去には、もうやりたくないと思ったこともあったけど、両親から続けるように背中を押されて、そうして、毎日トレーニングする中、自分の目標を見つけたんです。それで、テニスが楽しくなり、そして、もっと上達したいと思うようになりました。」

マーティンは高校時代、多くのトーナメントに一人で参加しなくてはならなかった。それが、彼が、彼自身のキャリアについてもっと責任を感じるようになった理由でもあった。「自分一人で全てをしなければいけない状況が、彼に自立を促したし、その中で自制心も学ぶことが出来たんだと思います。」Lokasundaramは言った。「もし、なにか問題があったとき、彼は、自分の力でその問題を克服しなければならなかった。それが、彼の成長を本当に助けたんだと思います。」

マーティンが初めてLokasundaramからレッスンを受けたその日から、彼は、マーティンに大学でプレーすることの大切さを説いてきた。

「彼は、教育をとても重視してるんです。いつも教育第一だって言われてきました。」マーティンは言った。「小さい頃、プロになりたいと言ったら、まず、大学でプレーしてからって言われました。」

Lokasundaramは、マーティンにプロテニスプレーヤーになる夢を思いとどまらせようとしたわけではないが、彼は、マーティンが怪我したり、プロとして成功しなかった場合に備えてセーフティネットを用意してほしかった。

「私にとっては、教育が最優先事項。多くの子供や親が、子供がプロになることだけに固執しすぎていると思っています。」Lokasundaramは言った。「アンドレは、アメリカで最も優秀な学校の一つに奨学金を得て行くんです。テニスで成功しても、しなくても、彼には素晴らしい未来が待っている。それが、とても重要なんです。」

育った街の近くにある大学に行くので、子供の時からアトランタ地区で一緒にトレーニングしてきた多くの仲間たちとチームメートになることができる。

ジョージア工科大学でのチームメートの多くを、僕は子供のころから知っているんです。彼らと大学で一緒にプレーできるなんて、とても楽しいだろうなと思ってます。」マーティンは言った。「カレッジアスリートは、テニスと勉強ですごく忙しく、時間の使い方がカギになるでしょう。すごく大変だろうと思うけど、今からとても楽しみにしています。」

                アンドレ・マーティン

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tennisrecruiting.net

 

 

マーティンは、近所の人たちが彼のことをこの先もずっと応援してくれることを知っている。夏に、芝生を刈ったり、窓を洗浄した経験は、試合の時により大きなモチベーションを彼に与えてくれた。トーナメントに参加できるように、人一倍、頑張ってきたのだ。この機会を無駄にしてはいけないと。

「将来の最終的な目標は、いつか、自分と似たような状況の人に恩返することができたらいいなと思っています。」とマーティンは言った。「歳をとって、そんなチャンスがあれば、今度は、自分が誰かを助けられればいいなって。」

 

ジュニアテニスとお金の問題は、本当に深刻です。トレーニングは高額で、遠征するのもお金がかかります。トーナメントのエントリー料だけでも結構します。一般的な家庭からそんな高額な費用を捻出するのは一苦労です。そのため、このスポーツを辞めて行ったり、ポテンシャルに届くことが出来なかったプレーヤーも多くいるでしょう。

そんな中、彼はよく頑張ってきたと思います。おそらく周りはお金持ちばっかりの、そんな中で、マーティンは、周りの人に助けれらながらも、甘えることなく、自分でも頑張ってチャンスを手に入れました。彼なら、この先どんな状況になっても、人生を切り開いていけるでしょう。その姿勢をテニスを通して、学んできたのだと思います。

Where there's a will, there's a way. ~意志あるところに道はある

同じような状況の中いる皆さんも、もうちょっと頑張ってみませんか。

International spring championship 最終日とアメリカの14以下の注目選手 その2

 

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USTA Training Center West - Carson Calif. (at StubHub Center)

 

 ↓今日行われたInternational spring championship の男子決勝戦

16歳と17歳の戦いですが、体格の差は結構ありますよね。

 

勝戦の結果は↓

BS

DRAXL, Liam (CAN)
7
3
7
SVAJDA, Zachary (USA)
66
6
5

GS

BLACK, Hurricane Tyra (USA)
6
4
6
MA, Connie (USA)
2
6
3

 

男女とも3セットまでいった接戦で、カナダのLiam Draxlとアメリカの Hurricane Tyra Black が優勝しました。Hurricane Tyra Black は昨年に続きこの大会2連勝です。またLiam Draxlは今秋からケンタッキー大学に進学することが決まっています。

さて、ジュニアテニスのマーチマッドネスこれで一段落。次に大きな大会が集中するのは、7月、8月の夏休み中になります。

 

International spring championshipsでは、16歳以下と18歳以下のディビジョンしかありませんでした。女子では、18歳以下でも14歳ぐらいのプレーヤーが多く活躍していますが、成長の遅い男子では、例外を除いては、14歳では16歳以下でも厳しいものがあります。現代テニスでは、男子は特にフィジカルがとても重要です。そのため、ある程度の年齢になるまでは、プレーヤーがどのように伸びていくか予想するのは難しいでしょう。

 

それを踏まえた上で今回はアメリカの14歳以下の現時点での有望選手を紹介します。彼らは、アメリカのトーナメントでプレーしているプレーヤー達の中でトップのトップ。アメリカのジュニアテニスに関わっている人なら、まず知らない人はいない有名プレーヤー達です。

14歳以下のトッププレーヤープロファイル

【14歳以下のプレーヤー】 Juncheng Shang 

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Juncheng Shang @今年のイースタボウル

 

2017年、USTAクレーコートチャンピオンシップとEddie Harrの12歳以下優勝し、2018年には、USTAハードコートチャンピオンシップの14歳以下で優勝した、2005年2月生まれの14歳、Juncheng Shang。先日行われたイースタボウルでも14歳以下で、圧倒的な強さで優勝しました。北京の出身で、数年前にアメリカにテニスのトレーニングのために引っ越してきました。現在は、フロリダのsanchez-casal tennis academyでトレーニングしています。ITFの国籍は中国となっています。お父さんが中国のサッカー選手だったということで、彼自身も運動神経抜群のレフティーです。現在はフロリダと中国を行ったり来たりしながらトレーニングを積んでいるようです。

 

今年のイースターボウルのマッチポイント↓

www.youtube.com

 

2017年Eddie Herrでの優勝したときの映像。この時の対戦相手は日本のジョーンズ怜音選手でした。

www.youtube.com

 

【14歳以下のプレーヤー】 Kyle Kang

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南カリフォルニア出身の韓国系アメリカ人のKyle Kang。2005年1月生まれの14歳です。2017年のイースターボウルでは12歳以下で優勝しました。そして、今年のイースターボウルでは、まだ14歳になって間もないですが、すでに16歳以下でプレーしました。将来の夢は、やはりプロになることのようで、1年ほど大学に行ってからプロに転向したい、ということです。

 

2017年にイースターボウル(12歳以下)で優勝したときのもの。

www.youtube.com

 

 

【13歳以下のプレーヤー】 Learner Tien

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2005年12月生まれの13歳のLearner Tien。南カリフォルニア出身のアジア系アメリカ人レフティープレーヤーです。小さな頃からプロディジー(神童)として有名な選手でした。ただ、年齢のディビジョンを上げてプレーすることが多いということと、誕生日が12月であることが災いしてか、これまでジュニアでのビックタイトルはありませんが、13歳以下グループでの超トッププレーヤーであることは間違いありません。現在、カーソンにあるUSTAのトレーニングセンターでトレーニングをしているそうです。

 

【13歳以下のプレーヤー】 Rudy Quan

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2006年1月生まれの北カリフォルニア出身のアジア系アメリカ人であるRudy Quan。12歳以下では、イースターボウル、ハードコートクレイコート、オレンジボールなど、Eddie Herr以外の有名トーナメントを全て総なめにしました。歳の近い Learner Tienが、年齢デイビジョンを上げてプレーすることが多かったのに対して、彼は、12以下にとどまり、他の選手を圧倒して、しばらくの間、12歳以下での独占状態が続きました。クラブチームでプレーするサッカー選手でもあり、運動神経は抜群。彼も現在、カーソンのUSTAトレーニングセンターでトレーニングしているということです。

 

2018年のオレンジボール↓

www.youtube.com

 

【12歳以下のプレーヤー】 Maximus Dussault 

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今回紹介する中で唯一の12歳以下のプレーヤーは2017年生まれのレフティー、Maximus Dussault 。昨年まだ11歳の時にEddie Herrの12歳以下で優勝しました。その時は準決勝で、当時12歳以下の絶対王者であったRudy Quanを、接戦の末破り、多くの人を驚かせました。下の映像は決勝戦のもの。

 

www.youtube.com

バージニア州の出身で、現在は、バージニアとフロリダを行ったり来たりしながら、主にフロリダでトレーニングしているようです。

 

あのブラッド・ギルバートもツイッターで紹介するほど、彼のプレーを絶賛しています。

 

 

以上の5人のプレーヤー達は、アメリカで、現時点において、それぞれの年齢グループの中で文句なしのトッププレーヤーです。5人中4人はアジア人で、5人中3人はレフティー(左利き)なのですが、決してアジア人とレフティーを意識して選んだわけでなく、たまたま、彼らが、自身の年齢グループでトップだっただけの話です。

何度もいいますが、ここから、トッププロまで道のりはまだまだ長く、その間すべてのことが上手くいかなければなりません。それでも、彼らは、現時点でのベストホープ。彼らが5年後10年後どんなプレーをしているか楽しみにしています。

International spring championship 最終日とアメリカの14以下の注目選手 その1

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International spring championships の昨年の優勝者Brandon NakashimaとランナーアップのTristan Boyer

南カリフォルニアのカーソンで行われているジュニアの国際大会 、International spring championshipsは今日が最終日。18歳以下の男子、女子の決勝がもうすぐ始まります。(この大会は、16歳以下と18歳以下のみの大会です。)男子は、No1シードのカナダの17歳、Liam DRAXLとノーシードから勝ち上がったアメリカ、サンディエゴの16歳、Zachary SVAJDAの対決となりました。Zachary SVAJDAはノーシードといってもアメリカでは、小さい頃から天才児として有名な存在。ただ、ここまで、USTAトーナメントにほとんど参加しなかったなど、独自の路線できているので、彼の実力がランキングに正しく反映されておらず、今回のITFのトーナメントでもノーシードとなっています。体格差が激しい男子で、16歳という年齢で、18歳以下のITFのグレード1の決勝というのはわりとすごいことだと思います。

 

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女子は、No1シードの18歳フロリダの”Hurricane” Tyra BLACK と ワイルドカードで出場した北カリフォルニアの15歳、Connie MAの対決です。”Hurricane” Tyra BLACKは、姉の" Tornado" Alicia BLACK と共に、彼女たちがまだ幼い頃に、次のウィリアムズ・シスターズとマスコミに取り上げられたり、登録名に"トルネード”、"ハリケーン”という奇抜な言葉を(両親によると)"マーケティングのため”に加えるなどしたために話題を呼びました。だだ現在20歳のお姉さんのほうは、ヒップの怪我でプレーができ無い状態が続き、今回決勝に進んだ妹さんも国内のジュニアでは、トップ選手なのですが、国際レベルでの成功は、まだ収めていていません。決勝の相手が15歳のMA選手であることでもわかるように、女子は成長のスピードが速いので、18歳でジュニアの大会に出ているという時点で、同年代の世界トップの選手(例えばアンドレスクなど)とは、隔たりがあるでしょう。

 

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いつも思うことは、小さいときの成績で、例えば12歳以下、男子なら14歳以下でも、彼ら(彼女らの)未来のテニスの行方を予測するのは本当に難しいということ。もちろん、ナダルなどのようにジュニアの時からずっとトップの人もいますが、逆にジュニアの時にトップであってもその後、成長とともに失速してしまう人は多くいます。

そんな”周知の事実”を踏まえながら、今回は、アメリカの14歳以下の、主に男子の注目選手を紹介していこうと思っています。これから、彼らこの先、5年後、10年後とどう成長していくか、追っていくのも楽しいでしょう。

それでは、その2に続きます。

カレッジテニス 永遠のライバル UCLA vs. USC のレビュー

 

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UCLA vs. USC

ロサンゼルスにある名門大学、UCLA南カリフォルニア大学(USC)。この広いアメリカで距離にしてたった19㎞程度しか離れていないこの2つの大学は、公立(UCLA)と私立(USC)という違いはあるものの、学校の規模(UCLA-44,000, USC-47,500)、入学難易度(合格率ーUSC16.5% vs. UCLA18%)など似ている点が多くあります。勉学だけでなく、スポーツの名門校としても有名な両校。両校ともD1のPAC-12 カンファレンスに属しているところも同じ。そして、これまでの(様々なスポーツでの)D1チャンピオンシップでの優勝回数はUCLAが2位の116、USCは3位で106とこれまた近い!(1位は、同じくPAC-12 のスタンフォード大学で117)

そんなわけで、全米でも有名なほど、この2校は強烈なライバル関係にあり、天敵なのです。もちろん、スポーツで対戦するときは、いつも大きな盛り上がりを見せます。お互い、自分達の学校がこの街で1番だと思ってるので、負けるわけにはいきません。 

前置きが長くなりましたが、4月5日の金曜日にUSCvs.UCLAの男子のテニスマッチがUCLAのホームのウエストウッドで行われました。彼らが対決するのは、今シーズン、2回目。2月22日に行われた一回目の対決では、USCがUCLAに4-1で勝利しています。

 

そして2回目の対決となった昨日、決着が最後のシングルスにまで持ちこまれるという、手に汗握る展開となりました。

それでは、この試合をホームチームであるUCLAの視点から振り返ってみましょう!

 まずはUSC、

これからウエストウッドに向かいます。ブルーインズ(UCLAのチーム名)にまた勝利するぞ!

 

そしていよいよ試合開始です。

 

まずはダブルスから

UCLAのラインナップは、

 

UCLA vs. USC ダブルスラインナップ

 

 まずは、

No2ダブルスはUCLAが勝利しました。

 

そして、

No1もUCLAが勝ち、これでUCLAがダブルスで2勝したため、UCLAがダブルスを制して、ダブルスポイントを獲得!

UCLAが1-0とリードします。

 

次は、シングルス。No1~No6まで、6ポイントをかけての戦いです。合計で4ポイント取れば勝利確定なので、UCLAは勝利のためにシングルスであと3ポイントが必要。USCは4ポイントとれば逆転できます。

 

UCLAのシングルスラインナップ

 

UCLA vs. USCシングルスラインナップ

 

 まずは、No.6シングルスではUSCが勝利。これで、1-1のタイ

 

No.3もUSCが取り、2-1でUSCがリード。

 

No.2はUCLAが勝ち、これで2-2で再びタイ。

 

No.1はUSCが勝ち、これで、USCが3-2とリード。USCはあと一勝で勝利が決定します。(ちなみにUSCのNo1であるHoltは、元世界ランクNo1で2度の全米オープンのチャンピオンでもあるトレーシー・オースティンの息子さんです。)

 

残りの2試合はNo.4とNo.5。両試合とも3セットにもつれ込んでいます。

 No.5はUCLAが勝ち、3-3のタイに。勝利の行方は、最後のNo.4の試合の結果で決まります。

 

最後の試合はお互い譲らずに、第3セットはタイブレークへ。

 

タイブレーク。。。

UCLA 1-0 USC
UCLA 1-1 USC
UCLA 2-1 USC
UCLA 3-1 USC
UCLA 4-1 USC
UCLA 4-2 USC
 
UCLA 4-3 USC
UCLA 4-4 USC
UCLA 4-5 USC
UCLA 5-5 USC
UCLA 5-6 USC
USC マッチポイント
しかし、粘るUCLA
UCLA 6-6 USC
 
UCLA 7-6 USC
UCLA マッチポイント
しかし、粘るUSC
UCLA 7-7 USC
UCLA 8-7 USC
UCLA2度目のマッチポイント
 
7-6 (4), 5-7, 7-6 (7)の大接戦でUCLAの勝利が決定しました! 
 

 

最後にもう一度、勝利の瞬間を様々な角度からご覧ください。

 

終結果は、

#13 UCLA 4, #9 USC 3
April 5, 2019 | Westwood, Calif.
DOUBLES
(1) #6 Cressy/Smith (UCLA) def. #14 Holt/R. Smith (USC) - 6-4
(2) Nanda/Rapp (UCLA) def. Jaede/Verboven (USC) - 6-3
(3) Pereira/Zahraj (UCLA) vs. Cukierman/T. Smith (USC) - 5-5 susp.
Order of finish: 2, 1
UCLA wins doubles point.
SINGLES
(1) #11 Brandon Holt (USC) def. #21 Maxime Cressy (UCLA) - 6-2, 7-6 (2)
(2) #49 Keegan Smith (UCLA) def. #13 Daniel Cukierman (USC) - 7-6 (4), 6-3
(3) #23 Laurens Verboven (USC) def. #46 Govind Nanda (UCLA) - 6-3, 6-4
(4) Patrick Zahraj (UCLA) def. Riley Smith (USC) - 7-6 (4), 5-7, 7-6 (7)*
(5) Ben Goldberg (UCLA) def. #74 Logan Smith (USC) - 7-5, 3-6, 6-3
(6) Mor Bulis (USC) def. Mathew Tsolakyan (UCLA) - 7-6 (2), 6-1
Order of finish: 6, 3, 2, 1, 5, 4*
 

劇的な勝利でUCLAがホームでUSCを破りました。前回負けた天敵USCをこんな形で下すなんて、さぞ気持ち良かったことでしょう。

 

これで、今季のレギュラーシーズンでの対戦成績は1勝1敗。

そして彼らの戦いは永遠に続いていくのでした。。。