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全豪オープンを振り返る! 第3位の続き クビトバにとって大切なこと

ペトラ・クビトバの復活 パート2

 

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彼女の決勝戦後のプレスへの発言が書いてある記事を見つけたので、翻訳してみました。全豪オープンのオフィシャルサイトからダン・イムフォフ氏の記事を紹介します。

 

「ペトラにとって大切なこと」

クビトバは、自分を幸運な人間だとよく分かっている。ただ、全豪オープン決勝での敗北直後にそう感じるのは難しいかもしれないが。でも、今の彼女は、大きなスケールでものごとを見ることができる。

確かにこの敗北は、今までで一番、心が痛い敗北かもしれない。実際、彼女は自分でも、この決勝戦は、過去の2回のウィンブルドンの決勝戦よりも、自分にとってもっと重要な意味があると認めていたから、負けたことはとても悔しかっただろう。

 「負けたことは、やっぱり心がとても痛むわ。それは確かよ。」彼女は2時間35分にも及ぶ死闘の後にプレスとの会見でそう言った。「受け入れられまでは、時間がかかると思う。振り返って考えてみると、チャンスはあった。第1セット、彼女のサービスゲームで、私が40-0だった時、あれが大チャンスだった。他にも数回ブレークポイントがあったのに。」 

確かに、この試合の中で彼女が勝つ機会はあった。この全豪オープン決勝の記憶が多くの人にとって遠い昔のものとなっても、彼女はこの先ずっと、この時のことを頭の中で何度も繰り返して思い出すだろう。あのポイントが取れていたならとか、あのポイントでミスしなかったらとか。

しかしその苦痛は、彼女が第1セットを失い、第2セット3-5ダウンから、3つのマッチポイントを凌いで第2セットを奪い、負けはしたものの3セットに持ち込んだということを思い出した時に少しは和らぐはずだ。

全豪オープン決勝での勝利は、3度目のグランドスラムタイトルと共に、世界ランキング1位になることをも意味していた。

悔しさを感じるのは無理もない。特に2年前の起こった事件の後の苦しみを思うと、彼女はとてもこの試合に勝ちたかっただろう。

「もう、自分が情けないわ。」と彼女は冗談を飛ばした。「冗談よ。自分のことをとても誇りに思うわ。本当に。そうじゃなければ、自分に対してひどすぎる。」

「もちろん、負けてしまってとてもつらい。優勝してトロフィーを掲げたかった。でもね、私は、すでに2年前に勝った気がするの。この全豪オープンはすばらしい経験だった。またグランドスラムの決勝で試合が出来たなんて、本当は、まだ実感が湧いてないの」

 冷静にみえるプレスとの会見時とは違って、表彰式でのスピーチでは、クビトバは感極まってしまった。そしてそれは当然のことだろう。彼女がスピーチを始める前に息を飲むとロッド・レーバー・アリーナの歓声は、どんどん大きくなった。観客は、彼女が経験した苦労と努力を称えた。それを見ながら彼女の眼には涙があふれる。

オーストラリのファンはスポーツについて精通していると、選手たちはよく言う。今夜の観衆も例外ではなく、クビトバの流している涙の理由が、戦いで敗れた失意のせいというよりは、.長く、苦しかった日々を経て、ついに復活を遂げることができたという感慨によるものだとよく理解していた。

「ラケットを再び握れるようになるかわからなかった時でも、一緒に居てくれて、私を支えてくれてありがとう。」すこし落ち着いてきたクビトバは、彼女のチームに感謝した。

あの事件後、クビトバはいつもトップレベルに戻れると信じていたが、医者は難しいかもしれないと感じていた。

「テニスに戻った時、ランキングで何位になりたいとか、そういう、高い目標を自分に課さないように決めたの。もちろん、出来ることなら、以前のように、自分にとっての最高のレベルに戻りたい。でも、そうなることは、怪我のせいで本当に難しい。私の左手は100%の状態にはもう決して戻らない。仕方ないでしょう。今は、それを受け入れたわ。」

大坂は現在21歳で、クビトバがウィンブルドンで初優勝を飾った時と同じ年齢だ。

大坂のことを聞かれると、クビトバは、大坂がチャンピオンとしての新しい環境に、自分よりもうまく適応できることを願っていると言った。

「彼女は素晴らしい。彼女が今後どうなるか見守っていくわ。女子プロテニス界を支配する可能性もあると思う。」

今の大坂が言われていることは、クビトバが初めてのウィンブルドンに勝った時に言われたことと同じだ。

それから、7年と少し経ち、クビトバのプライオリティは変わった。今の彼女は自分にとってなにが一番大切かよく分かっている。

しかし、今夜はグランドスラムのタイトルのために、昔のように、最後の最後までとことん戦った。そして彼女は見事復活を遂げた。