30年前のレンドル戦ついてのマイケル・チャンの言葉
テニス史上最大のアプセットの一つと言われるマイケル・チャンがレンドルを破った試合。その試合について最近インタビューを受けたチャンの言葉を紹介します。
(tennis.com のSteve Flinkさんの記事から)
”100回中99回は、あんなことは起こらないよ。世界ランク1位の選手が、センターコートで、肉体的に限界になっている17歳の子供を相手に、セットカウント2-0から負けるなんて、普通は起こらない。”
”子供が寝る時に読んで聞かせるおとぎ話のような話で、なぜあんなことが起こったか説明ができない。最近あの時の映像をまた見たけど、見終わった後も、どうやって僕が勝ったのかよくわからないんだ。”
”ただ言えることは、自分についてすごく学んだ試合だった。諦めないということに関してね。”
”(4セット目の後半で、脚がつった時に)それを隠そうと必死だった。もし、僕が少しでもそんな気配をみせたら、イワンが気づいて、状況が悪化すると思ったから。でも、もう隠せないところまできてしまった。”
”第5セット、2-1になった時に、アンパイアにもうプレー出来ないからリタイアするって言おうと思った。そして、アンパイアほうに歩いていった。そしたら、サービスラインのあたりにきたところで、突然なにか心の叫びのようなものが聞こえたんだ。いろんな思いが頭の中をよぎった。まるで、神が僕のしようとしていることに、反対しているような感じがした。「マイケル、何をしてるんだ」って言われているような気がしたんだ。”
”そして、もし、ここでやめたら、将来同じような状況になった時、テニスでも、テニス以外のことでも、またやめてしまうんじゃないかと思えてきた。ここで止めたら、2度目以降はもっと簡単にやめてしまうだろうと。すぐやめる人と思われたくないと思った。そして、その時に、僕のゴールがとにかく最後まで戦うということに変わった。”
”僕が第5セットで、4-3のときに、もうサーブは入れているだけのような感じになっていた。ファーストサーブのスピードが70M.P.H.ぐらいしかなかった。15-30になった時、同じことをしていたら、また、サービスゲームを落としてしまうと思った。そしてその後のイワンのサービスゲームをブレークできる保証はどこにもない。”
”いまでも覚えているけど、あの時サーブの打つ直前、突然アンダーサーブを打ってみよう、なにかを変えるなきゃ、という考えが浮かんだ。”
”アンダーサーブにスピンを強くかけたので、イワンは、体が押し込まれてしまって、クリーンなフォアハンドリターンが打てなかった。そして、ネットに出る羽目になった。僕の打ったパッシングショットが、ネットの上の部分をかすめて、彼の、ラケットの上の部分に当たった。それで、彼はイライラしたんだと思う。そこからは、フィジカルな戦いだけなく、メンタルの戦いになった。あのポイントで流れが変わったんだ。僕はそのサービスゲームをキープして、次のゲームでイワンのサービスゲームをブレークした。”
”3-5、15-40でイワンのセカンドサーブのとき、サービスラインまで前に出てリターンしようとしたが、それはジュニアのときにやったことのある戦略だった。そうすると、ほとんどの場合、相手はプレッシャーを感じてダブルフォルトするか、ゆるいセカンドサーブを打ってきた。それならリターンでたたくことが出来る。そんなメンタリティーだった。彼がファーストサーブをミスした時、観客がざわついて、イワンはアンパイアにファーストサーブのやり直しを頼んでいたけど、アンパイアにNOと言われた。結局イワンはダブルフォルトしてしまった。リターンを前で待つという戦略が功を奏した。”
”たった一試合でキャリアが変わったというプレーヤーは少ないと思うけど、それがまさに僕だった。この試合で僕のキャリア、いや人生は大きく変わったんだ。”
”運命かって? それはわからないけど、トーナメントの前に僕の母が、父に、マイケルが今年の全仏オープンに優勝するような、そんな不思議な気がするのと言ったんだ。父は、何でそんなクレイジーなことを言ってるんだという感じだったらしいけどね。母は普段そんなことを言うような人じゃないから。”
話を聞いてるとあの試合は、本人の努力だけでなく、運があったというか、なにか、大きな力が動いたのかなという気がします。グランドスラムに勝つことは、実力だけでなく、運とか、タイミングとかも大事ですよね。(フェデラー、ナダル、ジョコビッチレベルの人以外では。)こんな大番狂わせがたまに起こるから、勝負は不思議で、面白い。
でっ、こんな夢のような話が、錦織選手にも起こらないかなぁ~とつい妄想してしまいました。。。頑張ってくださいね、チャンコーチ。