キリオス問題に、ウィンブルドンに。ノバク・ジョコビッチの言葉。
ジョコビッチを最後に見たのは、全仏オープンの準決勝でティエムに負けた後のプレス会見。
”ハリケーン”のような状態の中、2日間にわたって行われた全仏オープンの準決勝戦でティアムに5セットの末負けてしまったジョコビッチ。この時は、そんな環境でもプレーをしばらく続行させた大会運営側にかなり不満を表して、とてもイライラした様子でした。
ナダルや錦織と同様にグラスコートでのウィンブルドン前哨戦には出場しないということで、ジョコビッチは現在、母国であるセルビアのハードコートで練習中とのこと。
そんなジョコビッチが先日セルビアのメディアのインタビューに応じたということです。今日はその中でのジョコビッチの言葉を紹介します。(tennis.comの記事を要約)
まずは、ポッドキャストのインタビューでジョコビッチのことをこき下ろしたキリオスについて。
ジョコビッチはこれまで、キリオスのことは”悪い奴ではない”と思っていて、若い頃の自分と似ていると感じたキリオスの状況に同情して、5年前には、なにか助けになることが出来ないかと、キリオスに連絡を取ったこともあったそうです。
”僕自身もたくさん批判されてきて、彼と同じようなことを経験したからね。だけど、(キリオスが僕のことを悪く言ったのを聞いて)その瞬間僕の中でなにかが変わったよ。それだけだよ。”
ジョコビッチによるとキリオスは、これまで個人的にジョコビッチにそんなことをいってきたことはなかったということです。
”なんで彼が、そんなことを言ったのか分からない。注目されたかったのか、何か他の理由があるのか。でも、彼が正直で、オープンで、裏表のないような人なりたい、というのはよくわかった。彼はそういう性格なんだろうね。僕は彼を含めすべての人をリスペクトしているよ。この件で僕にできることは何もない。彼は言いたいこと言えばいいし、それに対して僕は何も問題ない。僕も彼の言ったことを気に揉んでない。”
また全仏オープンの準決勝での敗北については、”一晩で忘れた”ということです。
”2人の子供と家に帰ったら、テニスのことを考えたり、終わったことを考えたりして時間を無駄にできない。すぐに次に向かわないと。子供の存在がいろいろと助けてくれるよ。”
今週末にはウィンブルドンの準備のためにロンドンに向かうそうで、ディフェンディングチャンピオンである、今年のウィンブルドンについては、
”今、僕は、世界ランク1位だし、ディフェンディングチャンピオンでもあるし、今年もまた勝てるのではないかという気がする。そういう風に自分に期待してる。現実にそうなるかは分からないけど、そういう大きな望みを持って大きなトーナメントに臨むことは少なくないから。”
多くの人は、あのキリオスも含めて、ジョコビッチがフェデラー、ナダルを抜き、最終的に最多のグランドスラムタイトルを取るのではないかと考えています。人気度では、フェデラー、ナダルに少し劣りますが、安定度はNo1。ジョコビッチからも目が離せません!
ニック・キリオス アンダーサーブ、ビデオゲーム、アンディ・マリーについて語る!
Underarm Serves, Fortnite, Andy Murray @NickKyrgios gets grilled by Vuk. #QueensTennis #TennisForKids pic.twitter.com/o7oNktLuJ3
— Fever-Tree Championships (@QueensTennis) June 18, 2019
(英語で字幕がついていますが、さらっと意訳しました。以下、参考までに。)
男の子:ハロー
キリオス:始めまして。ニックです。
男の子:初めの質問。僕が学校でちゃんと勉強しなかったら、叱られるけど、あなたは、テニスを一生懸命にしなくても、叱られないのですか?
キリオス:僕にはコーチがいないからね。誰にも何も言われない。でも一生懸命やるべきだと思うよ。
男の子:誰かが僕に、あなたは時々頑張らないことがあるといっていたけど。あっ、僕が言ったんじゃないよ。
キリオス:そうだね。悪いことだよね。
男の子:ちゃんとやらないと。
キリオス:君の言う通りだよ。
男の子:あなたのようにアンダーサーブを打つべきだと思う?
キリオス:君が打ちたければね。相手のプレーヤーによってはよい戦略だと思うけど。でも、普通のプレーをしたほうがいいかもね。あんまり変なことをしないほうがいいかも。トラブルになるかもしれないから。
男の子:その時の状況によるよね。ところで、フォートナイトはどのくらい上手い?
キリオス:あんまり、上手くないよ。そんなにやらないから。僕は、コール オブ デューティ派なんだ。君は?
男の子:僕はフォートナイト派だよ。
キリオス:フォートナイトのダンスとかするの?
男の子:それはまた後で。
キリオス:僕にみせてよ。カメラの前でやったら? これについては、シャイなんだ。
男の子:それはやめときます。あなたとアンディ・マリーではとっちがテニスが上手い?
キリオス:確実にアンディ・マリーだよ。対戦成績は彼の5勝1敗で、グランドスラムチャンピオンでもある。テニス史上最高のプレーヤーの一人だと思っている。
男の子:う~ん。
キリオス:こんな答えが帰っくるとは思ってなかったでしょう?
男の子:ノバク・ジョコビッチも忘れないで。
キリオス:誰?
男の子:セルビア人のテニスプレーヤー。
キリオス:あ~、知ってると思うよ。ごめん、ごめん。
男の子:あなたとアンディ・マリーが友達になったきっかけは?
キリオス:彼が、メッセージを送り続けてきて、いるだろう、そういう人。何かしようって、メッセージを何度も送ってきて、でも僕は彼はすごくハイメンテナンス(手がかかる、ちょっとめんどくさい人)だしなと思ってて。で、僕が晩御飯でも一緒に食べるって返事した。彼は、ディナーのお金を払いもしなったけど。でも、なんか友達になったんだ。
男の子:アンディは、なぜあなたにダブルスパートナーになってと頼まなかったと思う?
キリオス:まず、僕はウィンブルドンでは、ダブルスには出ないんだ。5セットマッチだからね。それに、僕よりダブルスが少し上手いプレーヤーはたくさんいるから。彼は優勝を狙っているんだと思うよ。
男の子:もちろんだよ。みんな勝ちたいと思っているよ。
キリオス:そうだよね。それが真実だよね。
男の子:あなたのベストダンスムーブは何ですか。
キリオス:特にないよ。腕を上にあげてクレイジーに動かすだけ。
男の子:ここで見せてもらえますか。
キリオス:ノー。僕と同じことを言わないように。
男の子:ありがとうございました。
キリオス:こちらこそ。今日あったことで一番いいことだった。
テニスサッカー
ALLEZ LES BLEUS 🇫🇷#ATPCuppic.twitter.com/AQi70paSy0
— ATPCup (@ATPCup) June 18, 2019
もちろん、サッカーも上手い⚽⚽⚽ そこはやっぱりフランス人。
アンディ・マリーのインタビュー
"I wasn't living the life I would want to" - @Andy_murray talks about living with pain and how it took over his life with @sallynugent.#Tennis #Wimbledon #GreatBritain #Scotland pic.twitter.com/eke7L2OAj1
— BBC Breakfast (@BBCBreakfast) June 17, 2019
手術をする前、6か月前に出来なかったことが、できるようになって嬉しそうで、とてもリラックスした様子のマリー。ゴルフもエスケープルームも子供と滑り台で遊ぶことも痛みなしできるようになって、人生をもっとエンジョイしている様子が伝わってきます。マリーの最近のインタビューをいくつか見たのですが、とても穏やかな表情になっているのが印象的でした。これまで、おそらくテニス中心の人生だったので、それが変わり、時間がある中で、いろいろと新しく見えてきたこともあるでしょう。先日見たあるインタビューでは、もしこのままシングルに復帰できなくでも、それはそれで、今ならうまく受け入れることが出来るというようなことを言っていました。ファンにしてみれば、彼がもう一度プレーしているところが見たいでしょうが、とりあえず、今の状態が本当によさそうでよかったなと思います。自分が納得するまで頑張ればいい! まずは、ロペスとのダブルスを楽しみにしています。
大坂なおみ vs マリア・サカーリ
Nature Valley Classic 1回戦 大坂なおみ vs. マリア・サカーリ
🔜 at the #NatureValleyClassic: @Naomi_Osaka_ 🆚@mariasakkari 🍿#大坂なおみ pic.twitter.com/8KObA1Yjry
— WTA (@WTA) June 18, 2019
ハイライト
結果
大坂なおみが、6-1, 4-6, 6-3勝利。
.@Naomi_Osaka_ escapes Sakkari in her #NatureValleyClassic opener!
— WTA (@WTA) June 18, 2019
She moves into the second round with a 6-1, 4-6, 6-3 win 💪 pic.twitter.com/iCAUWqdhIg
スタッツ
1 |
6
|
4
|
6
|
|||
1
|
6
|
3
|
7 | Aces | 0 |
3 | Double faults | 8 |
59% | First serve % | 62% |
72% | Win % on 1st serve | 63% |
57% | Win % on 2nd serve | 54% |
5 | Break points won | 2 |
0 | Tiebreaks won | 0 |
38 | Receiving points won | 32 |
94 | Points won | 76 |
16 | Games won | 10 |
7 | Max games won in a row | 2 |
8 | Max points won in a row | 7 |
56 | Service points won | 44 |
11 | Service games won | 8 |
一回戦をフルセットの末、突破した大坂なおみ。2回戦は、現在世界ランク28位、ロシア生まれのカザフスタン選手、ユリア・プチンツェワと対戦します。
大坂なおみインタビュー
トーナメント前のインタビュー
Before she starts her #NatureValleyOpen campaign, @Naomi_Osaka_ opens up about her clay season and experiencing 🇬🇧 pic.twitter.com/GYS4rzOKIx
— WTA (@WTA) June 18, 2019
今年のクレーコートシーズンはこれまでの中でベストだった。全仏オープンはちょっと残念だったけど、それでも1回戦で負けたとかでなかったし、ポジティブに考えたい。
(ここでは)とにかく楽しんでプレーをしたいと思ってる。クレーコートシーズンでは、自分のパフォーマンスや結果を意識しすぎたけど、でも今は、もっと自由な感じでプレーしている。多くの人が、私が(芝でも)いい結果を出すことが出来ると言っているけど、もちろん、私もそうしたいと思っている。でも、まず(芝に)慣れることを学ばないと。人それぞれ、ゲームやメンタリティーが違うから、やり方(ブループリント)も人それぞれだと思う。私の場合はコーチとよく話すこと。
ウィンブルドンでプレーしたことは心に残っている思い出。小さいときにテレビで見ていて、いざここに来てみると多くのトラディションがあって。でもいつも準々決勝で負けている気がするから、今年は決勝戦に行けるようになりたい。
この天候が大好き。雨が毎日降っていて。みんなとても行儀が良いし、ここでの食べ物も好きだから助かっている。ここでは、まだ、あまり多くのことを経験してない。イギリスで有名なこととか、大きなこととかがわからないから、何をすればいいいのかよくわからない。ロンドンでは、観光客がすることをしてみたい気がするけど、ビックベンとか大観覧車とかいつも混んでるからなぁと思ったり。でも一度は行ってみたい。
”WTA世界ランク1位の大坂なおみがグラス(芝)コートでプレーするときに好きなことは?”
.@WTA World No.1 @Naomi_Osaka_ reveals her favourite thing about playing on grass! 🌱
— LTA (@the_LTA) June 18, 2019
And it’s not what you’d expect 😀 pic.twitter.com/uUuhhG8kH6
色かな。とても綺麗。
サーシャ・バインコーチが大坂なおみと再び。。。なんてことはあり得るのか。
知りませんでしたが、大坂なおみの元コーチであるサーシャ・バインが本を出版するんでね。しかも日本語で。タイトル(メンタル革命という仮題)だけで判断するとメンタル強化の本みたいですが、どうなんでしょうか。本まで出すかとちょっとびっくりしています。
さて、WTA.comの記事で、サーシャ・バインのこの本のことが取り上げられていました。その本の中で、サーシャ・バインが、大坂なおみのことについて書いていることが抜粋されて載っていましたので、紹介します。
サーシャ・バインが大坂なおみについて書いたこと(WTA.comより)
”今はまだ、傷が癒えていない。でも、なおみが関係解消したことについて、恨んだりはしてない。僕の仕事は、彼女の夢をかなえるための手伝いをすることだ。僕らの関係を続けるか否かは、彼女に全て決定権がある。”
”もし、なおみが将来そう望むなら、彼女と再び、(彼女のコーチとして)仕事を一緒にすることも僕には想像できる。その道が完全に閉ざされているとは思いたくない。いつか将来、我々がまだ仕事を一緒にする可能性は残されていると思いたい。プレーヤーとコーチが一度関係解消してから、その後、再び関係を戻したということは、テニスではたまにあることで、そうなっても前代未聞というわけではない。実はそんなに珍しいことではない。なおみと僕は今は、違う道を歩いているけど、将来は何が起こるかは分からない。”
”僕は、愛と情熱(love and emotion)を持って、彼女の夢が実現するように献身的に努力した。僕は彼女が達成したことをとても誇りに思っている。エリートプレーヤーのテニスコーチというのは、他のどんな仕事よりも不安定な仕事だ。プレーヤーはいつでも、コーチとの関係を解消することが出来る。それでも、なおみのエージェントからの電話で、なおみが我々の関係を終えることを決めたというニュースを知った時は、ものすごくショックだった。”
”(解消を言い渡された)その日の早い時間帯になおみと僕とチームのみんなで会っていた。その時、僕らが問題を解決して、まだ一緒にやっていけると信じながら僕はそのミーティングを後にした。彼女が、僕をまだ必要としていると思っていた。僕らの関係があのタイミングで終わってしまったことは、とても悲しい。2019年の全豪オープンで優勝して2つ目のグランドスラムを取り、No1 になったばかりの時のタイミングで。”
"なおみと僕は、長期にわたり、何年間も一緒に良い仕事ができるのではないかと思っていた。少なくとも僕はそのつもりだった。あと5年くらいなおみのコーチとして仕事をして、それから、帯同コーチとしての仕事を引退する。そんなつもりだった。その間に、テニスにおいて私が達成したいことは、おそらく、全て達成できたのではないかと思うから。”
”なおみを助けるためなら僕はどんな犠牲でも払ったし、なんでもするつもりだった。彼女は、もちろんそれを知っている。僕は、なおみのために全力をつくしたし、これ以上にできないほど頑張ったから、(後悔などなく)夜はぐっすりよく眠れる。”
”一年間という短い間に、コートの中でも外でも、多くのことが起こった。それらのことを受け入れ、自分なりに理解するのには、時間がかかる。人生で起こること全てには何らかの意味があると信じている。僕が一度も会ったことがない知らない人達が、ソーシャルメディアで、内部事情を知ってるかのような、驚くようなことを書いたりしているのを見て、とにかく驚いた。”
”その中のいくつかは、すごく極端な話で、”いい加減にしろよ”と返事したくなったけど、自制した。そんなことをしたら、話がもっとややこしくなると分かっていたから。ソーシャルメディアで見た噂の一つは、僕らが金銭的なことでもめた、という話だ。それはまったくのでたらめで、僕たちの間で、お金のことが問題になったことは一度もなかった。”
″僕となおみのように、毎日のように一緒に仕事をして、それが突然終わりを迎えた場合は、誰でも、まるで失恋でもしたような気分になると思う。なおみとは、毎日のように会っていた。2018年の一年の間で、なおみに会わなかったのは13日だけ。そんな濃密な関係だった。だから、彼女ともう一緒に仕事が出来なくて、彼女が僕の周りにもういないということ、そういうことが寂しいと思うのは普通のことだと思う。”
”彼女の物静かな性格とが、シャイな笑顔とか、皮肉交じりのユーモアとか、パームビーチ・ガーデンズにある僕の家から、僕たちがトレーニングをしていたボカラトンにあるクリス・エバートアカデミーまでのドライブとか、そうことが懐かしく感じる。でも何よりも、なおみと話とすることがもうできないことがとても寂しい。なおみのことは、ずっと気にかけている。彼女は、とてもいい子だから。”
コーチとアスリートは多くの時間を一緒に過ごし、その関係は、その間とても濃いものになります。あのタイミングでの関係解消の背後にはだれも語らない、私たちが知ることのない大きなドラマがあったことでしょう。どんな終わり方をしても、二人三脚で頑張ったあの時間は、2人にとってかけがえのないものであることには変わりありません。時間はすべてを癒してくれるから、いつかこの2人が笑ってその時のことを話せるような、そんな時がいつかきっとやってくるでしょう。
サーシャ・バインがこれをいつ書いたのは不明ですが、現在は、なおみには新しいコーチがいて、彼にも新たなプレーヤーがいる。今後は、2人とも更なる飛躍のために、前進あるのみです。