全豪オープン 女子シングルス決勝 プレビュー
以下、テニスマガジンのスティーブ・ティグナー氏の全豪オープン、女子シングルス決勝のプレビュー記事です。(抄訳)
女子テニスの世界は、特にグランドスラムでは、パワーが支配すると考えられている。しかし、2018年のシーズンでは、キャロライン・ウォズニアッキ、シモナ・ハレプ、アンゲリク・ケルバーなどの、いわゆるディフェンダー達が、グランドスラムで優勝して、その原理を脅かした。しかし、2019年の全豪オープンでは、パワーのある「アタッカー」が再びトップに返り咲いた。準決勝まで勝ち残った4人、大坂なおみ、ペトラ・クビトバ、カロリナ・プリスコバ、ダニエル・コリンズ は全て攻撃的なアタッカー達だ。
このうち、決勝に残ったのは大阪とクビトバであるが、彼女たちの決勝戦までの道のりは、まったく対称的だった。
クビトバは、このトーナメント、ここまで絶好調だ。彼女の長いキャリアの中で、今が最高の状態であるといってもいいかもしれない。決勝までの道のりは、とてもスムーズで、今大会はまだ1セットも落としていない。過去には、突然、試合の途中で気が抜けてしまったようにスランプになり、そのまま負けることもあったが、今大会はそのようなことはなく、始めから終わりまで集中して試合を進めている。また、今季、かなり体を絞ってきたクビトバは、体にキレがあり、動きがとてもよくなった。そのおかげで、彼女の武器であるパワフルなショットをより効果的に使うことができるようになった。また、最大の武器であるレフティーサーブも絶好調である。
それに比べて、大阪の決勝への道のりは、決して平坦なものではなかった。準決勝のプリスコバ戦を含めて、これまで、3試合で3セット目までもつれ込んだ。だからと言って、彼女のパフォーマンスがクビトバより劣るというわけでない。彼女のレジリエンス(困難な状況にもかかわらず、しなやかに適応して生き延びる力)はすばらしく、苦しい中から勝ち上がってきたという事実が、彼女により大きな自信を与えるだろう。さらに、大坂は、全米オープンで優勝したので、それ(優勝)以下の結果ではもう満足できないと言い切った。
では、どちらが勝利を収めるのか。今大会、絶好調のクビトバか、全米オープンで優勝して、自信あふれる大坂か。両者とも、グランドスラムの決勝のような大舞台でとても良いプレーをする。クビトバは、これまで、ツアーレベルのトーナメントの決勝戦で26勝7敗である。しかもグランドスラムの決勝戦では2勝0敗だ。大坂は、昨年の全米オープンで、ほとんどの観客がセレーナを応援しているという、圧倒的なアウェイの雰囲気の中、勝利を勝ち取った。両者とも、攻撃的なプレーで、コートのどこからでも、ウィナーを打つことができる。大坂のほうが、動きは良く、ディフェンス力は長けている。しかし、私は、女子テニス界はパワーが制するという原理を信じることにする。両者ともにパワーはあるが、その点ではクビトバのほうが少し勝っていると思うのだ。
筆者が予想する優勝者:クビトバ