オール・アバウト・テニス

主に海外(特にアメリカ)で取り上げられているテニスに関する興味深いニュースをピックアップしてお届けします。

ジュニアと怪我と練習量と

先日ジュニアの怪我について少し書いたのですが、ジュニアの怪我の一番の原因は、やはり、練習のし過ぎ。反復練習を繰り返すことで、その部分に大きなプレッシャーがかかり、怪我を引き起こしてしまいます。「アスリートのオーバートレーニング(過度の練習)は、アンダートレーニング(練習不足)より悪い!」スポーツ全般で言われていることですが、テニスにももちろん当てはまります。短期的に考えれば、練習すればするほど早く上達して、結果も出るので、ついついもっと、という風になってしまいますよね。しかし長期的に考えると、これほどリスキーなことはありません。幼い頃から根詰めて練習しすぎることで、プレーヤーとして、アスリートとして、最も重要であるはずの10代半ば~20代半ばまで、心と体が持たなかった、では、元も子もなくなってしまいます。

じゃあ、ジュニアにとって適正な練習量とはどの程度なのか? ということになるのですか、今回は、まず、https://www.tennisconsult.comのウェブサイトの記事を紹介しながらジュニアと練習量について、考えてきたいと思います。

 

"ジュニアテニスプレーヤーはどれくらいトレーニングするべきか"

まずは、わたしの個人的な経験から話をする。私は、ロシアでの高校、大学時代、陸上競技の選手だった。成績は、大学のアマチュアレベルとしては、まずまずで、記録は、100m走ー11.5秒、幅跳びー7.1m。当時、私は、平日に4回、2時間ずつ、それに加えて、週末にも、2時間ずつ練習をしていたので、一週間に合計、12時間ほど練習していたことになる。その上、夏はサッカー、冬はスキーをしていた。幸い怪我をしたこともなく、私は、そのことをコーチにとても感謝している。.

多くの専門家は、ジュニアプレーヤーの練習時間は、16歳までは、週に15時間を超えるべきではないとしている。私の子供が8歳から12歳までの間の練習時間は、週に6~8時間程度、それにプラス2時間のフィットネストレーニングだった。ちなみに、彼は、ベラルーシでトップ10の選手だった。

以下はITF国際テニス連盟)が推奨しているジュニアテニスプレーヤーのトレーニングの内容だ。

6~8歳 : 週に3~4セッション。一回のセッションの長さは45分以下。グループレッスン。ミニ・コートを使用する。50%テニス、50%他のスポーツ、サッカー、ハンドボール、バスケットボール、水泳など。

9~11歳:1時間のセッションを、週に3~4回。70%テニス、30%他のスポーツ 

12~14歳 : 一日2~3時間、週に4~5回のグループレッスン。85%テニス、15%他のスポーツ

15~16歳(中級レベルプレーヤー): 一日3~4時間のトレーニングを週に4~5回

16~18歳(上級レベルプレーヤー) : 一日3~4時間のトレーニングを週に5~6回

年間のトーナメント数の目安(シングルス&ダブルス):中級レベルのプレーヤーで15~20、上級レベルのプレーヤーで20~25。それぞれのトーナメントの後は、1~2日休養する。

私の個人的な意見としては、そのジュニアテニスプレーヤーに才能があるなら、週に15時間のテニスのトレーニング + フィットネスとトーナメント、それで十分な発達を期待できると思っている。

もし、ジュニアテニスプレーヤーにプロになれるような才能がないなら、週に30時間のトレーニングで体をぶち壊す意味はない。プロテニスを見ていれば分かるだろう。彼らのようにトレーニングすることで、体に良いことは何もないことを。

 

あなたや、あなたのお子さんの練習量はこの記事と比べていかがですか?

オーバートレーニングの一番は原因やっぱり心理的な問題。親も本人も早く上手くなりたい、早く結果を出したいと思いますよね。でも、急がば回れです。あるジュニアのコーチは「4年後のことを想像しながら今のトレーニングをしろ」とよく言っています。彼の言うように、ジュニアの養成においては、ピーク時のことを想像し、長期的なプランを見据ながら、【今】のトレーニングを設定するべきだと思います。そうすれば、【適正】な練習量に落ち着くのではないでしょうか。

目指すところや、個人的な性質によってもトレーニングの適正量は変わってくるし、何が【適正】なのか、見極めることは本当に難しいと思います。

ただ、練習量は、子供の健康に直結するので、今の練習量に不安を抱いている場合は、一度きちんと、親、コーチ、本人で話しあってみると良いでしょう。この中の誰かが暴走した場合に、他の誰かが止めることができるような、そんなシステムが必要だと思います。