オール・アバウト・テニス

主に海外(特にアメリカ)で取り上げられているテニスに関する興味深いニュースをピックアップしてお届けします。

大坂なおみが大注目されるワケ

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大坂なおみアメリカでの注目度はものすごい。

 

以前、錦織圭ペトラ ・クビトバ大坂なおみのテニストーリーをこのブログで紹介したが、テニスチャンネルのフェースブックには、現在50の異なったテニストーリーのエピソードがアップされている。(*テニストーリー:テニス・チャンネルが制作する、テニスに関わる様々な人達の「テニス・ストーリー」を紹介する短かい動画。)

ちなみに、現時点での再生回数のトップ5は、

5  Roger Federer at AO(全豪オープンでのロジャーフェデラー9.6K Views

4     Petra Kvitova (ペトラ ・クビトバ) 15.7K Views

3     Alex Hunt (アレックス・ハント、ニュージーランドの片腕のテニスプレーヤー)16.2K Views

2  Dirk Nowitzki (ダーク・ノビツキー、バスケットボールプレーヤ-)20.5K Views

1  Naomi Osaka (大阪なおみ)162.5K Views

ちなみに錦織圭のエピソード は2.9K Viewsであるが、それでも上位のほうである。

アップされた時期は動画により少ずつ異なっているので、一概に比較することはできないかもしれないが、それにしても、大坂なおみの再生回数は他を圧倒している。

 

インディアン・ウェズで優勝後、有名な男性雑誌GQに取り上げれたときのタイトルは、”Naomi Osaka Is the Coolest Thing in Tennis”大坂なおみは、テニス界で一番カッコイイ)であり、

あの全米オープン優勝後、全米で大人気のトークショー「エレンの部屋」に出演し、エレンに好きな男性のタイプについて、いじられて話題になり、

全豪オープン優勝後も、国民的なモーニングショウであるグッドモーニングアメリカに出演したりした。

そして、今回の事件。世界NO.1になった直後にバインコーチとの関係解消を発表して、テニス界は大騒ぎなった。

本当に話題に事欠かない大坂なおみ

アメリカで(おそらく世界でも)、今最も注目されているテニスプレーヤーといっていいだろう。

 

良くも悪くもなぜ彼女はこんなに多くの人々から注目されるのか。

もちろん、彼女のテニスの才能がすごいからというのは、その通りである。その他にも、彼女の個性的な言動とか、いろいろ理由はあるだろうが、やはり、大きな理由の一つは、彼女の持つマルティカルチュラル・バックグラウンド(多文化背景)に関係していると思う。

ハイチ人の父と日本人の母を持つ大坂なおみアメリカ育ち。現在、日本代表として戦っているが、一見見た目は普通の日本人とは程遠い。

しかし、彼女のなかに日本人っぽさを見つけることは、それほど難しくない。

よく見ると顔はお母さんに似ていて、日本人っぽい顔つきである。性格もシャイで、そこもなんとなく、日本人らしい。そして、なにより、彼女は日本代表だ。

一方、アメリカ人にしてみれば、アメリカ育ちで、英語が完璧な大坂なおみは、たとえ日本代表として戦っていても、アメリカ人にしか見えないはずだ。

そして、ハイチ人も同じように、大坂なおみの中にハイチ人の血を感じていることだろう。

多くの異なった文化を持つ人々が、彼女のことを OUR OWN(私たち自身の、私たちの仲間/身内)と感じているのだ。

 

テニス界のレジェンドである、ビリー・ジーン・キングは、全米オープンの後、大坂なおみについてこう語っている。

"She's an amazing player already. What is she, 20? She's exceptional. I think Japan should be very proud of her. I know America is very proud of her. We are. She's both. I think that's great."

「彼女は、すでにもの凄いプレーヤ-よ。何歳だっけ?20? 彼女は別格だわ。日本は、彼女のことを誇りに思うべきだと思う。アメリカは、彼女のことを誇りに思っているわ。本当にね。彼女は両方なのよ。(日本人でもあり、アメリカ人でもある。)そして、それはすばらしいことだと思う。」

 

そして、大坂なおみ自身もこう語っている

“Maybe it’s because they can’t really pinpoint what I am,” Osaka has said, “so it’s like anybody can cheer for me.”

「みんな、私が、いったい何なのか、何人なのか、正確に特定できないみたい。ということは、だれでもわたしのことを応援できるということだと思うの。」

日本、アメリカ、ハイチ、いや、世界中のみんなで、なんとなく、大坂なおみを共有しているような、そんな感じがするのだ。そして、彼女自身もそれでオッケーだと思っている。

 

10月に22歳になる大坂なおみの国籍の選択が、今、注目の的だ。アメリカでは、彼女がアメリカ国籍を選ぶ可能性もあるという記事を見かけるし、日本では、日本代表で東京オリンピックに出るって言ったのだから、日本の国籍を選ぶに違いないとか、様々な憶測が飛び交っている。

たとえ、どちらの国籍を選んでも、アメリカでの大坂なおみへの注目度は、この先も変わることはないだろう。だって、彼(女)らにとっては、彼女は、our own なのだから。

日本でも、同様だといえるだろうか。彼女がもしアメリカ代表となっても、日本の血を引く仲間として、世界で活躍する彼女を今までと変わらずに応援し続けていくのだろうか。

ハーフのテニススターである大坂なおみ。彼女がたとえどこの国を代表先に選ぼうと、世界中の人が、彼女がこれから築いていくであろう素晴らしいテニスヒストリーを暖かく見守っていくことを願っている。